流行という感覚

日経ビジネスで村上春樹の新刊、アフターダークがベストセラーの第1位となっている。ぼくは今まで世間一般的な人気の度合いとは関係なしに作家を選び、その本を読んできたつもりだ。意識的に流行りものの作家を避けているとも言っても良いと思う。流行や人気という評価で作品を見たくない、という考えが根底にあるからだ。
それは村上春樹においても例外ではない。村上春樹は、ぼくを読書の世界に引きつけるきっかけを作ってくれた人物である。それ故に切り離せない関係をぼくは感じている。
しかし、だからといって村上春樹の新刊を手に取ろうとは絶対に思わない。旬という感覚がぼくの価値観を惑わす可能性を危惧しているからだ。それだけで、ぼくは読んでいる作品に対して、誇張な評価や批判を加えてしまいそうだ。
ぼくにとって小説というのはアートであって、アートというものは時代性とは関係なしに評価されるべきだ。
だからぼくは流行りものの小説は読まない。少なくとも一つのアートとして読むべきものはすべて。