ハンニバル

読み始める前は、羊たちの沈黙ほどの期待はなかった。話の筋も予見しないまま、紙に書かれた文章を追いかけた。その結果としてこの小説はぼくの心に強い衝撃を与えた。それは羊たちの沈黙のものよりもはっきりと色濃く残るもので、ぼくはそれをありありと感じることができる。
ハンニバル羊たちの沈黙よりも残酷でいて、美しい。時間を越えた存在を信じて探求するレクター博士と、ライオンの中にある蜜のようなクラリストマス・ハリスクラリスという存在をこのように描くつもりで前作から考えていたのなら、ぼくは敬意を表さなければならない。
しかし、ぼくが一番好きになった人物は相変わらずこの人物だ、ジャック・クロフォード。

クロフォードは、退院後1ヵ月ほどたったある夜、再び胸の痛みに襲われたのだ。が、救急車を呼んで、また最初から治療をやり直す代わりに、彼はただ、ベッドの亡き妻の安らぎのほうに寝返りを打つことを選んだのだ。

映画版ハンニバルは、原作と内容が全然違うみたいな情報を前に見かけた。
是非ともメイスン・バージャーの実写版を見てみたいものだけれど。