心臓を貫かれて

これほど救いのない読み物は初めてだ。物語の端から端まで求愛に満ちているにもかかわらず、1つとして救いがない。誰も救われないし、誰も何も救わない。
それと同じように、これほど愛を渇望する本も読んだことがない。起きてしまったことへの恐怖と、それを受け止められない悲しみが著者を包み、物語を語り、そして読者をも巻き込んだ強いうねりとなる。