ハンニバル・ライジング
1人の秀才が悲しみと復讐を超えて怪物になるまでの物語。
広島出身の紫夫人の家宝がなぜ伊達政宗の面なのか、日本人としては残念な感が残った。それに、この設定は多少の無理がある。だって「羊たちの沈黙」でも「ハンニバル」でもハンニバル・レクターは日本の文化について触れないし、和歌も読まないし、書道もしない。
そういうものだと言われれば、そうだと思うしかないが、どこか悲しい。嘘を守るために新たな嘘を塗り固めているような気がして心情をよくしない。といっても他のトマス・ハリス作品に比べて(特に羊たちの沈黙)翻訳の質も良いので文章はとても読みやすいので気軽に読めると思う。
ストーリがドラマティック過ぎてる感はかなりあるが、展開自体は悪いものではない。普通に楽しめるはず。少しでも興味があるなら読んでみてください。