シャイニング

読書について文章にするのは久しぶりかもしれない。このシャイニングはモダンホラー作家として有名なスティーブン・キングが1977年に書いた小説。ぼくが生まれる5年前ということになる。今年で三十路。
とまあ、そんなことよりも、この小説はとても素晴らしい。家族の絆、オーバールック(舞台になるホテル)が持つ怨念。どう思考したらこんなにすごい物語を書けるのだろうと関心してしまう。キングは紛れもない小説家なんだと思う。とても純粋に、当たり前のように。
ぼくはこの話を最初、キューブリック監督の映画で見た。確かにキューブリック特有の映像の美しさはそこにあったが、残念ながらキングが描きたかった「家族愛」がそこには全く見出すことができなかった。
今から3年くらい前にキングは「"スティーブンキングの"シャイニング」としてこの作品を自らの脚本で再び映像化した。それくらいキングは頭にきていたのだ。キングはインタビューでこんな感じのことを話していた。

キューブリックはホラー映画を撮るのが初めてで、ホラーのことなんて全くわかっていなかった。
あれじゃ最初から狂っている親父が普通に暴れているだけに過ぎない。

そのときは原作を読んでいなかったので、キングが何を言いたいのか、はっきりとはわからなかった。だけど、今なら多少なりともわかる。キングがシャイニングの主要なテーマに置きたかったのは「家族愛」だったのだ。
親子数代にも渡って続いてきた血の歴史と、オーバールックに潜む死霊たちとの戦いの中で、ジャックとダニーは傷つきながらも結びつき、そして別れる。
アメリカのこういう話を読むと、どうしても「心臓を貫かれて」を思い出してしまう。しかし、「心臓を貫かれて」と「シャイニング」では(ドキュメンタリーとフィクションだということは置いといて)決定的に違うことがある。
この小説では救いがあり、家族全員が繋がっている。家族の愛が、そこにはあるのである。