海辺のカフカ

再読した。再読のはずなのに、話の内容をずいぶんと忘れていた。読み終わってからアフターダークを眺めてみたら、やっぱりこっちもどんな話だったのか、まるっきり思い出せない。歳を重ねてしまったのだろうか、特に記憶に残る物語ではなかったのだろうか?もちろんそんなことはないけど。
いまどきの15歳のはずなのに、かなり昔の音楽を聴いてるところがちょっとどうなんだ、と思うけれど、話の全体としては奥が深くて幅も広く、ギリシャ悲劇や日本の古典文学への取っ掛かりとなる導きもあり、良い話だと思う。
村上春樹の初期作品と比べて、曲がりくねることなく、生きてゆくことへの意思がきちんと伝わってくるのも良い。そう、意思があるのだ。
けれど、前読んだときにも思ったことなんだけど、村上春樹小説の優しさは特定人物のみに向けられているのが気になって、というか残念でしょうがない。ぼくはまだアフターダークまでしか読んでないけど、最近の小説もそんな感じなのだろうか?
せっかく説得力があってきれいな(そう、とてもきれいな)文章を書くのにもったいないなー、とたまに思う。