スプートニクの恋人

おそらく1年くらい人に貸していたのが返ってきた。返ってきた途端に読みたくなる。読み始めたら止まらない。徹夜して一気に読んでしまった。
この作品は、村上春樹の一人称小説としては、後期の作品であり、とても洗練されている。物語の構成、文章の組み立て方、とても見事だ。
ぼくはこの小説を読むたびに、最後に「僕」と「すみれ」は再会できたのだろうかと考える。そして思う、「きっと2人は会えないだろう。1度失ったものはもう戻らないのだから」
ぼくはこの小説を3人の女性に貸していた。3人とも最後に再会して終わったのだろうと感想を述べた。多分3人ともスプートニク以外の小説を読んでいないせいだろう。
この小説の話は、他の小説と違い、最後の終わり方に含みを持たせている。それは前向きで、読者に希望を与えている。
村上春樹の作品は、どの作品も最後の終わり方が曖昧に書かれている。それはまるで、夏目漱石の書き方と同じように。