坑夫

ここのところ、家ではプログラミング関係の書籍(いまはJavaWorld)を読んで、電車の中では小説を読む、というサイクルが続いている。
この漱石の抗夫という作品は、200ページほどのそれほど短くはない(しかし1ページあたりの情報量は多い)のだけど、読む時間が少ないために、読破するのに時間をかけた。そのために内容が引き伸ばされて頭に入ってきており、物語の終盤では既に前半の気色を思い出せないような心持になった。
それは、ただ引き伸ばして自分の頭に入れ込んだためではなく、この話自体がそのようなつくりになっていたからだとも思われる。前半と後半で物語の情景はすっぽりと入れ替わる。
予断だけど炭坑の中で、暗闇の中を進んでいくさまは、村上春樹の「世界の終わりと〜〜」を思い出す。
炭坑の町に入ってからの情景描写では、「漱石はよくこんな話をかけたものだなあ」と思っていたのだけど、解説で、この話は荒井某という男の話が元ネタになっている。みたいなことを読んだ。なるほど。